地元の山の材を厳選して使用し、山陰の気候風土に合った、日本建築の住み心地を楽しみ、山陰の四季を味わう和の住まい「和良居の家」。
こちらでは「和良居の家」を実現する取り組みについてご説明いたします。

「顔の見える木材を使った家づくり」を実践

当社は、素材生産者、製材所、設計士、建築施工業者が連携したグループ『地域らしさを生かし建築を通じて文化を発信する会』を主催、「顔の見える木材を使った家づくり」の実践を通じ、木材の安定した流通価格、流通量の確保を目指しています。

現在は、素材生産者1社、製材所1社、設計士1社、建築施工業者1社で活動しており、毎年約200m3の原木(主にスギ材)を林家から直接購入し、製材、ストックして、1年以上自然乾燥(含水率25%以下)した後、建築材として使用しています。

鳥取県西部地区の森林資源は人工林の約6割をスギが占め、次いで約3割がマツ、約1割がヒノキとなっており、地区内に2つある木材市場で約47,000m3の原木が流通しています。スギにこだわり、「顔の見える木材を使った家づくり」を実践することで、地域らしさを生かしながら山を豊かにしようと取り組んでいます。

グループで加工、設計、建築をするシンプルな流れ

本来、気候風土にあった地元の材で家づくりをすることは極めて自然なことですが、これまで鳥取県西部では多くの原木が県外へ流れてしまい、産業的に県内へ安定供給するルートは少ないのが実情でした。

今までに無かった新しい産業としてのルート形成を試みたのをきっかけに、いわゆる『顔の見える木材を使った家づくり』への取り組みを始めました。この取り組みは、素材生産者、製材所、設計士、建築施工業者がグループを組み、地元の山から切り出した材を直接製材所で加工し、ストックしたものを管理しながら設計、建築を行っていくというシンプルな流れを作るもので、木材市場や中間業者をはさまないため流通コストがかからず、あわせて品質管理をしやすいのが特徴です。

品質に応じた安定価格で、山への資金還元も可能

この仕組みを機能させるために、特に重要なのは「適正価格」での材料購入であり、適正な森林施業が実施され、将来の森づくりにつながるだけの価格で取引を行わなければなりません。そのためには、相場によって価格が大幅に変動するのではなく、一定の水準を守った価格で、安定した材料を供給できるかどうかが鍵となります。数年間この流れを試したところ、川下(建築業)側からの立場で必要な構造材の品質と、川上(山)側が供給できる原木の価格のバランス、つまり適正な原木価格が分るようになって来ました。

森林所有者、素材生産業者、製材所は、それぞれが個々バラバラに木材を生産し、設計士、建築施工業者も地域材にこだわらず個々に設計・施工しているため、品質と供給のバランスが取れず、原木価格が変動するのです。本来、適正な原木価格と言うのは、品質により安定的に維持でき、適正な森林施業が行えるだけの価格であるはずです。

適正価格を実現するには、森林所有者から建築施工業者まで、木材生産、設計施工の全体に対して、全員で関わっていかなくてはなりません。関係者全員が自分の関わる分野以外も勉強し、全員が全体を理解し協力しながら木材生産、設計施工を行っていくことで効率的な原木利用と設計が可能となり、品質に応じた価格での木材流通、山への資金還元も可能となってくるのです。

川上側から直接搬入すれば、品質管理が容易

当初、産業的なルート形成のために実践した計画でありましたが、他にも大きな成果がありました。それは、品質管理に関することです。

阪神淡路大震災後、平成12年10月の建築基準法改正により品質管理及び性能保証が義務付けられるようになり、それまで、材木の乾燥について明確な指針といえるものはありませんでしたが、構造材の基準含水率は20%以下という一つの基準が設けられました。

「顔の見える木材を使った家づくり」の流れでは川上側から直接購入するため、製品管理が容易となりました。場所さえあれば木材をストックし自然乾燥することができ、高品質な乾燥材を消費者に提供できます。このことは大きなメリットとなりました。

これまで消費者が求めてきた「安くて良いもの」と言えば、質、量、価格が安定している外在に頼らざるを得ませんでしたが、私たちの方法で管理すれば国産材で同等以上の品物を適正価格で供給することも可能となりました。

こうして誕生したのが当社がお薦めする「和良居の家」なのです。